新生子適応障害症候群;Rope Squeeze での治療 Vol.3

はじめに

前々回前回と新生子適応障害症候群に対するRope Squeeze治療法の有用性について
記事にしてきました。
今回の記事でも、前回までの記事の流れを引き継ぎ、新生子適応障害症候群について紹介していきたいと思います。


結果


新生子適応障害症候群と診断した7頭中頭が48時間までに神経スコアリングが2未満72時間以内に頭すべてでスコアが0に低下しました。

残念ながら残りの2頭では2頭は頭は48時間後に死亡、頭は日目に安楽殺となりました。

測定したProgesterone, Pregnenolon, Allopregnenolonの3つのホルモン濃度は生存したすべての症例で徐々に低下していくことが確認されました。

それではそれぞれのホルモン濃度について簡単に確認してみます。

Pregnenolon

初診時の新生子適応障害症候群の1例で正常馬の平均値に比較し著しく高い値を示し、初診時から48時間後には正常馬とほぼ変わらない程度に低下しました。

他の新生子適応障害症候群子馬では正常馬に比較し、それほど高い値を示しませんでした。


Progesterone

初診時では新生子適応障害症候群子馬の4例で正常子馬に比較して高い値を示しました。しかしながら、残る3例については正常子馬とほぼ変わらない値を示しています。
高い値を示した4例についても治療後、時間の経過と共に値の減少が認められました。



Allopregnenolon

このホルモンはDr. Madiganらの研究で新生子適応障害症候群様の症状を再現することができたホルモンです。
新生子適応障害症候群と正常子馬で明確な差が認められるのではと期待していましたが・・・。

新生子適応障害症候群の1例では著しく高い値を示しましたが、他の症例では正常子馬と比較し、著しい高い値を示した訳ではありません。

それでは今回の調査の結果を受けて、
考察に進んでいきたいと思います。

考察




Rope Squeezeによる治療は新生子適応障害症候群の一部に対しては有用な治療方法だと考えられました。
Category 2に対しては残念ながら有用であったとは考えられません。これは恐らくCategory 2が子馬のホルモン異常や胸部圧迫による胎子→新生子への移行不全ではなく、他に重大な疾患があったためだと推察しています。
新生子適応障害症候群は臨床症状からの診断となるため、この様なことが起こると考えています。

Rope Squeezeの大きなメリットとしては、
  • 簡単・容易
  • 低コスト
  • 副作用なし
  • 往診先でも実施可能

な点だと考えられます。

また、複数回の処置についても実施可能となります。
実際に、Animalsという雑誌に掲載されたDr. Madiganらのグループの論文では治療を実施した66.7%は1回、26.4%は2回、6.9%は3回以上のRope Squeezeを実施したと報告しています。

回数により治癒率に差があるのかは明らかでは無いと記載されていますが、今回の調査では、1回目で上手く効果が認められなかった症例であっても、2回目もしくは3回目のRope Squeezeで効果が認められたことがあります。

まとめ

Rope Squeezeは、
 新生子適応障害症候群子馬に対して20分間実施 
   新生子適応障害症候群子馬に対する有効な治療方法 
   治癒率に影響ない・治療期間短縮

だと考えられました。

今回の記事はこれで終了です。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。













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