はじめに
今回、紹介する論文は馬の副鼻腔への内視鏡検査についての研究です。この研究では副鼻腔を内視鏡にて検査する場合の適切な位置について死体を用いて検討されています。
副鼻腔への内視鏡検査は、副鼻腔蓄膿の診断および治療のために有用な方法の1つだと思い、この論文を取り上げました。
それではAbstractです。
Abstract
Objective腹側鼻甲介洞および前上顎洞に対する内視鏡検査技術の確立
Study Design記述的研究
Animals馬死体の頭部(40頭分)
Methods腹側鼻介洞および前上顎洞を内視鏡にて検査した。
1. Rostral RMS approach;前上顎洞の吻側への円鋸
2. Caudal RMS approach; 前上顎洞の尾側への円鋸
3. Light indicated RMS approach;前頭洞への円鋸を行い、ライトにより適切な位置を決定し、前上顎洞の尾側への円鋸
4. VCB; frontal VCB approach;前頭洞への円鋸に加え、VCB(ventral chonchal bulla)を破る
5. caudal VCB approach; 後上顎洞への円鋸に加え、VCBを破る
6. Combined VCB approach; 前頭洞および後上顎洞への円鋸に加え、VCBを破る
Results腹側鼻介洞および前上顎洞の吻側および尾側を十分に観察できたのは各方法で以下の通りであった。1. Rostral RMS approach (0頭; 16頭 [40%])2. Caudal RMS approach (0頭; 11頭 [28%])3. Light indicated RMS approach (3頭[8%]; 24頭[60%])4. VCB; frontal VCB approach (24頭[60%]; 29頭[73%])5. caudal VCB approach (16頭[40%]; 16頭[40%])6. Combined VCB approach (27頭[68%]; 35頭[88%])
Conclusions前頭洞への円鋸に加え、VCBを破ることで腹側鼻介洞および前上顎洞の吻側および尾側にアプローチすることが可能であった。前上顎洞への円鋸では腹側鼻介洞を十分に観察することは困難な上、臼歯の歯根部にダメージを与える可能性があるため、適切ではないと考えられる。
Clinical Relevance腹側鼻甲介洞および前上顎洞はVCBを破り、内視鏡検査を行うことで十分に観察できる
感想
この論文を読んでから、VCBを確実に破ることに注意している。VCBを破り、全てのコンパートメントを交通させることと鼻道への排液路を作成することが副鼻腔炎の治療において重要なことだと思い、実践している。
副鼻腔内を内視鏡で観察することで、より適切な診断ができる可能性がある。
以前に経験した症例では、内視鏡検査を実施して、初めて歯髄の壊死があることに気が付いた。
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