はじめに
サラブレッド生産地で獣医として働いていると、馬の難産はもっとも緊張する仕事の1つだと思います。馬の難産は急患と考えられる状態の1つです。ただし、発生頻度がそれほど高くなく、難産が起こった場合のシュミレーションを行なっている牧場は多くはないと思います。
今回の記事は、教科書やパンフレット、そして、診療を通じて難産に対してどのような準備ができていると良いのかを検討してみました。
チェック項目
まず、スライドに確認しておくべきかと思う点を挙げてみました。1点目
出産予定日と過去の難産歴は簡単に確認可能かと思います。2点目
獣医師の電話番号は意外と忘れがちかもしれません。担当の獣医さんが休みであったり、離れた地域で仕事中の場合、他の獣医師を依頼する必要があるかもしれません。また、獣医師との連絡担当者が難産で手が離せない場合には、他の人が獣医師に連絡する必要があるかもしれません。
このような事態を考えて、獣医師の電話番号一覧を厩舎の壁に貼っておくと便利だと思います。
3点目
陰部縫合が実施されている場合は切開を行わなければ、外陰部から手を入れ、胎子の態勢を判断するのは難しいと考えられます。そのため、予定日を確認し、予定日付近には陰部の切開を実施しておくと良いと思います。
4点目
枠場が物置になっている。枠場はあるけど平打ちはない。などの問題点はお産時期の前に解決しておくと速やかに枠場が使用できます。
5点目
馬運車の問題です。難産が現場で整復できない状況では、2次診療施設に搬入する必要があるため、馬運車が必要な場合があります。牧場さんによっては馬運車の箱をおろしてしまって降ろしてしまっている場合がありますが、可能であれば、お産時期までに馬運車の準備をしておくと良いと思います。タイヤについても注意してください。スタットレスタイヤを履いていない馬運車では難産の際に使用できない場合があります。
6点目
スライドには、テキストを参考に一覧表を作成してみました。
必要なものが手元にあるのか?保管場所はどこなのか?を事前に確認しておくといざという時スムーズに動けると思います。
7点目
もし、現場の診療だけでは難産が整復できない場合、全身麻酔での整復を試みるのか?全身麻酔での整復がうまく行かない場合、帝王切開を実施するのか?についても事前にある程度考えておくと良いと思います。
今回は、事前準備について考えてみました。
今回のリストで欠けている物などもあるかと思いますが、事前準備の参考の1つにしていただければ幸いです。
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