はじめに
脛骨 外果骨折は主に転倒や捻挫に起因すると考えられています。この外果の骨折には側副靭帯の損傷も同時に発生しており、
これが、骨折後の飛節の腫脹がなかなか引かない原因の1つだと考えています。
治療方法としては
『保存療法』もしくは『外科手術』が選択されてます。
『外科手術』は関節切開による骨片摘出術、関節鏡手術での骨片摘出術、そして、骨折片が大きい場合は螺子による内固定手術が選択されます。
これまでの論文
これまでに報告された論文を簡単に振り返ってみます。
Jakovljevic (1982)では保存療法で75%が運動復帰したことを報告しています。
Wright (1992)では関節切開し、外果の骨折を摘出し、多くの症例が術後良好な経過を得ました。
その後、O'Neill and Bladon (2010)により関節鏡による骨片摘出が報告されました。この論文では術後の手術を受けた全ての馬で跛行が改善した。
翌年にはSmith and Wrightにより26例の外果骨折の骨折片を関節鏡にて摘出した報告がなされました。この論文においても1例では深刻な合併症が認められたものの、多くの馬では良好な予後が得られた。
このような背景から、意外にも関節鏡での脛骨外果の骨折片摘出は最近の手技だと言うことがわかります。
私はこのO'Neill and Bladon (2010)の論文を読み、外果骨片の関節鏡による摘出を行いはじめました。
さて、今回は少し前までのデータですが、これまで経験した飛節の脛骨外果骨折の10例についてまとめたものを紹介します。
今回の調査の目的は
『脛骨外果骨折が認められた症例のそれぞれの治療方法の予後を明らかにすること』
になります。それでは、
材料と方法
調査対象は8年間の診療記録から抽出した10例についてです。
いずれの症例もX-rayで飛節脛骨外果の骨折を確認しています。
治療方法については、
保存療法が3例、関節切開での骨片摘出は2例、関節切開と関節鏡の併用が2例、そして、関節鏡手術が3例になります。
関節切開は脛骨外果の直上を切開し、側副靭帯を切り分け、骨片の摘出を行いました。
関節鏡と関節切開を併用した症例では、関節鏡手術で飛節の背側面からアプローチし、それに加え関節切開を行い、骨片を摘出しました。
関節鏡手術では、飛節の背側および底側から関節鏡を挿入し、骨片を摘出しました。
今日はここまでです。
続きはまた明日、よろしくお願いいたします。
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