馬;子馬のおへその管理方法

まとめ

臍帯は自然に切れるまで待つ
臍帯は縛らない
臍帯の消毒は6時間毎に生後1−2日間は行う



はじめに

子馬が生まれた際のへその処置、各牧場によりかなり管理方法に違いがあるようです。娩出後の子馬のへそ(臍帯;以下“臍帯”で記載します)は細菌感染の原因になりやすく、適切な処置が必要とされています。

僕が比較的よく聞く例としては、臍帯が切れたらタコ糸で縛り、劇ヨーチンで消毒する方法です。この方法は後からトラブルの原因となる事が多いと思っています。

そんな事から、今回は子馬のへその処置について考えてみました。
主に洋書の教科書を参考にしています。


臍帯が自然に切れる利点

臍帯は子馬が娩出されてから6−8分後に子馬の動きによりお腹から4−7cmの部位で自然に切れることが理想とされています。

臍帯が自然に切れることには以下の利点があります。


十分な血液量の確保

子馬が娩出された直後は臍帯内に血液が流れています。その血液が十分に子馬の体内に戻った後に臍帯が切れることが理想であり、娩出直後に臍帯が切れてしまった場合(人為的に切った場合も)には、最大で25-30%の子馬の血液を損なうことになります。25-30%の血液の欠乏は子馬にとって大きなダメージになり得ると考えています。


帯からの細菌感染が起こりにくい


理想的な切れ方をした臍帯には血液が貯留せずに感染の原因になりにくいとされています。これに対して、人為的に切られ、ひもで縛られた臍帯は血液が溜まり細菌感染が起きやすい状態となります。臍帯からの細菌感染の重篤なケースでは子馬が廃用になる場合があるので注意が必要です。臍帯を触る際は手を清潔に保つ必要があります。特にタコ糸などの撚り糸では撚り糸内に血液が溜まりやすく、細菌感染の温床となる可能性があります。

子馬が娩出された直後は臍帯内に血液が流れています。その血液が十分に子馬の体内に戻った後に臍帯が切れることが理想であり、娩出直後に臍帯が切れてしまった場合(人為的に切った場合も)には、最大で25-30%の子馬の血液を損なうことになります。


臍帯の消毒方法

臍帯の消毒はどのような方法がよいのでしょうか?

教科書によると臍帯の消毒にはクロルヘキシジン(商品名ヒビテン、マスキンなど)が理想的だとされています。
0.5%クロルヘキシジンを用いて生後1−2日間、6時間毎に消毒するのが理想的だと記載されています。消毒の際にはディッピング(小さな容器に消毒液を入れ、臍帯をつける)が推奨されますが、スプレーによる消毒でも良いようです。
一般的に販売されているクロルヘキシジンは5%ですので、使用の際には10倍希釈して使うことが理想的です。比較的、濃い濃度で使用してしまう場合もあるので、ある程度キチンと用量を守って作ると良いと思います。クロルヘキシジン消毒液はヒビテン液やマスキン液の商品名で販売されています。
臍帯の消毒はイソジンでも良いかもしれません。ただし、劇ヨーチンなど刺激の強いヨード系消毒薬は組織を壊死させてしまうため推奨されないようです。

では、最後にまとめです。

1.臍帯が自然に切れるのが理想的です。切れるまで6−8分掛かります。自然に切れるまで焦らずに待ってみましょう。
2.臍帯の処置の際にはきれいな手で行いましょう。
3.ひもで縛ると感染原因になる可能性があります。
4.臍帯の消毒は6時間毎に生後1−2日間は行いましょう。

今回は正常分娩の際の臍帯の処置について検討してみました。
臍帯は時として重篤な感染症の原因となります。そのような事態にならないためにも分娩時およびその後の処置や消毒が大切だと考えています。



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