要約
足根骨間関節および足根骨−第三中足骨間関節の骨増生は1歳馬のレポジトリーで比較的頻繁に認められる所見となります。基本的にはそれほと気にする必要はないと考えています。
ただし、重度の骨増生であれば慎重な検討が必要だと思われます。
はじめに
足根骨間関節および足根骨−第三中足骨間関節の骨増生足根骨間関節および足根骨ー第三中足骨間関節の骨増生はレポジトリー では比較的よく認められる所見の1つだと考えられる。
まずは図でそれぞれの位置を確認しておきましょう!
図に白矢印で示すのが足根骨間関節ですね。
そして図に黄色矢印で示すのが足根骨ー第三中足骨間関節になります。
今回は良いX-ray画像が準備できずに正常例の画像です。
良い画像が見つかれば追記します。
ではそれぞれの発生率について論文を確認しましょう!
日本国内の調査(Miyakoshi et al. 2017) では、足根骨間関節の骨増生は30.2%で認められ、足根骨-第三中足骨間関節の骨増生は9.3%で認められたと記載されています。
アメリカでの調査 (Kane et al. 2003) では、足根骨間関節の骨増生と足根骨-第三中足骨間関節の骨増生の発生率を合算し、記載されており、これらの発生率は17.5%であったと報告されています。
オーストラリアでの調査 (Jackson et al. 2009) では、足根骨間関節の骨増生は10.5%で認められ、足根骨-第三中足骨間関節の骨増生は35.4%で認められたと記載されています。
これらの結果から発生率に大きなバラツキがあるのが分かりますね。
おそらく各論文での診断基準にわずかに違いがあるのだと思われます。
このような微妙な所見を診断するのは本当に難しいと思い知らされます。
それでもこれらの所見は10%以上は認められていることから、比較的発生率の高い所見であると考えられます。
それでは足根骨間関節および足根骨ー第三中足骨間関節の骨増生と競走成績の相関関係についても論文を確認しましょう!
まずは日本国内の調査 (Miyakoshi et al. 2017) の結果を確認します。
この論文では2-3歳時の出走率について調査を行なっています。
結論から言うと、足根骨間関節および足根骨ー第三中足骨間関節の骨増生のいずれの所見も競走成績と有意な相関関係は認められなかったと記載されています。
足根骨間関節の骨増生が認められた馬の出走率は91.5% (対照群 93.4%)、足根骨−第三中足骨間関節の骨増生が認められた馬の出走率は89.0%(対照群 93.1%) であり、いずれも対照群と差がありませんでした。
次にアメリカでの調査 (Kane et al. 2003) の結果についても確認します。
この調査では、出走率、獲得賞金、1回出走あたりの獲得賞金額、入着率について調査しています。
この調査では足根骨間関節および足根骨ー第三中足骨間関節の骨増生の1つのグループとしてカウントし、競走成績との相関関係について調査していました。
調査の結果、足根骨間関節もしくは足根骨−第三中足骨間関節の骨増生が認められた馬での2-3歳時の出走率は76%であり、対照群の83%に比較し有意に低い値を示しました。
つまり、アメリカの調査 (Kane et al. 2003) では
足根骨間関節もしくは足根骨−第三中足骨間関節の骨増生は低い出走率と相関関係があると結論が出されています。
それではオーストラリアの調査 (Jackson et al. 2009) についても結果を確認してみましょう!
この論文では出走率、獲得賞金、入着率等について調査しています。
調査の結果、足根骨間関節もしくは足根骨−第三中足骨間関節の骨増生はいずれの項目とも相関関係が認められませんでした。
つまり、オーストラリアでの調査 (Jackson et al. 2009) では足根骨間関節もしくは足根骨−第三中足骨間関節の骨増生は競走成績に影響を与えなかったと考えられます。
まとめ
足根骨間関節もしくは足根骨−第三中足骨間関節の骨増生は基本的には競走成績に与える影響は限定的だと考えられます。骨増生が著しく重篤な所見や透亮像を伴うような所見では注意が必要だと思います。
そのため、軽度から中程度であればそれほど気にする必要はないと考えています。
もちろん、臨床症状を示すようであれば別ですけどね。
参考文献
今回の記事では下記の参考文献の情報を元にしています。興味がある方はぜひ原文も読んでみてくださいね。
Kane, A. J., Park, R. D., McIlwraith, C. W., Rantanen, N. W., Morehead, J. P., & Bramlage, L. R. (2003). Radiographic changes in Thoroughbred yearlings. Part 1: Prevalence at the time of the yearling sales. Equine Veterinary Journal, 35(4), 354-365.
Kane, A. J., McIlwraith, C. W., Park, R. D., Rantanen, N. W., Morehead, J. P., & Bramlage, L. R. (2003). Radiographic changes in Thoroughbred yearlings. Part 2: Associations with racing performance. Equine veterinary journal, 35(4), 366-374.
Jackson, M., Vizard, A., Anderson, G., Clarke, A., Mattoon, J., Lavelle, R., ... & Whitton, C. (2009). A prospective study of presale radiographs of Thoroughbred yearlings. Rural Industries Research and Development Corporation. Publication, (09/082), 09-082.
Miyakoshi, D., Senba, H., Shikichi, M., Maeda, M., Shibata, R., & Misumi, K. (2017). A retrospective study of radiographic abnormalities in the repositories for Thoroughbreds at yearling sales in Japan. Journal of Veterinary Medical Science, 79(11), 1807-1814.
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