第四手根骨と中間手根骨の板状骨折の5例(Auer et al. 1986)

はじめに

手根骨の板状骨折はほぼ第三手根骨に認められます。
しかしながら、ごく稀に第四手根骨などの他の手根骨で板状骨折が認められるケースが存在します。

第四手根骨の板状骨折について調べてみると、非常に古い論文ですが、第四手根骨の板状骨折の症例報告がありました。
今回はこの第四手根骨の板状骨折について記載された症例報告を紹介したいと思います。

今回紹介する論文は、
Auer, J. A., Watkins, J. P., White, N. A., Taylor, T. S., & Rooney, J. R. (1986). Slab fractures of the fourth and intermediate carpal bones in five horses. Journal of the American Veterinary Medical Association, 188(6), 595-601.
になります。

論文紹介

この症例報告は5例の第四手根骨板状骨折症例を診断しています。5例中3例では中間手根骨の骨折併発が確認できたと記載されています。5例はいずれも診断が遅れました。これは臨床所見が軽度だったためです。全ての症例で関節切開下でラグスクリュー法を用いた内固定手術を実施しました。

遅れた手術、他の手根骨まで跨ぐ螺子(安定が必要なため)外科的侵襲のため、全ての症例で骨増生を伴う関節症所見が認められた。5例全ての症例が元の使役に復帰できなかったが、4例はパドック放牧、もしくは繁殖供用され、順調である。1例は予後不良となり安楽殺となった。早すぎる自由運動復帰の後であった。

感想

この論文は1986年と30年以上前に掲載された論文です。そのため、関節鏡手術が一般的ではなかったのだと思います。
この論文では関節切開を実施し、螺子挿入を実施しています。関節鏡手術に比較し、関節切開術は合併症が多く、術後成績が悪いことが一般的に知られています。
この論文の結果からは、第四手根骨の板状骨折はかなり予後が悪い印象を受けます。

しかし、現在ではこの手術は関節鏡を用いて実施することが可能かもしれません。
また、症例のX-ray画像からは、症例によっては関節固定術の適応症例だったようにも思えます。
この論文では非常に重症な症例を含んでいるように思えます。そのため、第三手根骨の板状骨折の予後と簡単に比較することはできないと思います。


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