はじめに
喉頭蓋エントラップメントは1歳馬で認められることがある上部気道疾患の1つです。
米国のセールでは喉頭蓋エントラップメントが認められる1歳馬はセールへの上場ができないもセールもあると聞いたことがありますが、国内のセールではそうした制限はないと記憶しています。
下記の写真は喉頭蓋エントラップメントの内視鏡写真です。
喉頭蓋は膜に覆われているのが分かると思います。
喉頭蓋エントラップメントが認められた場合、喉頭蓋を包む喉頭蓋ヒダを切開する必要があります。この切開方法についてはレーザーメスでの切開やフック付きのナイフでの切開などの方法が報告されています。
喉頭蓋エントラップメントは1歳馬および2歳馬のセールにおいても事前に提出された内視鏡動画を確認する際にはチェックしておくべき所見の1つです。
今回、ご紹介する論文は、米国、ケンタッキー州のRood & Riddle Equine Hospitalで手術を受けた喉頭蓋エントラップメントの1歳馬症例の術後競走成績について報告しています。この論文は、レポジトリー資料を評価するための有用な情報となると思いましたので紹介します。
今回、紹介する論文は、
Curtiss, A. L., Aceto, H., & Embertson, R. M. (2020). Race performance following epiglottic entrapment surgery in Thoroughbred yearlings. Equine veterinary journal, 52(1), 52-58.
になります。
論文紹介
喉頭蓋エントラップメントはサラブレッド種1歳馬において認められるものの、外科手術での治療後の競走成績については明らかにされていません。このような背景からこの論文は作成されていると記載してあります。
この論文の目的は、1歳時に喉頭蓋エントラップメントと診断され、外科手術を受けた症例とコントロール群の競走成績を比較すること、および手術後に競走出走することができなかった症例の要因を明らかにすることだと記載されています。
この論文は、66頭のサラブレッドの医療記録(1989-2014)、および競走記録を調査しています。術前、術後の内視鏡検査所見および手術方法、競走成績を調査したと記載されています。外科治療を受けた症例のの2例の母系兄弟の競走成績を調査し、母系兄弟をコントロール群として用いていました。
また、術後出走できなかった症例のリスクファクターを検討したと記載しています。
66頭中65頭が少なくとも1頭の母系兄弟がいました。
手術を受けた66頭の出走率 (70%) とその母系兄弟の出走率 (70.8%) の間に有意差は認められなかったと記載されています。
手術を受けた症例の中で右披裂軟骨の外転異常が認められた症例では認められなかった症例に比較し有意に術後の出走率が低かった (P=0.02) と記載されています。
この論文では、1歳時に外科治療を受けたサラブレッド種競走馬は、コントロール群と同等の競走成績を示したと結論付けています。また、その際に右右披裂軟骨の外転異常の所見が術後の不出走のリスクとなり得ることを示しています。
感想
1歳馬のレポジトリー提出用の内視鏡動画を撮影する際に注意が必要な喉頭蓋エントラップメントに関する論文でした。
この論文では、喉頭蓋エントラップメントは外科手術にて治癒すればコントロール群と同等の競走成績が得られることを示していると思います。
私の個人的な考えとしては、喉頭蓋エントラップメントの症例は注意が必要な症例だと思っています。喉頭蓋エントラップメントの症例では、外科手術を実施したものの、喉頭蓋の形成不全により持続的なDDSPを発症したり、もしくは間欠的なDDSPを起こす症例が一定数存在するからです。
今回の論文を読んだことで、十分な長さの喉頭蓋を持ち、右披裂軟骨の動きに異常なない喉頭蓋エントラップメントの症例は手術により良好な予後が期待できると考えています。
喉頭蓋エントラップメントは1歳馬で認められることがある上部気道疾患の1つです。
米国のセールでは喉頭蓋エントラップメントが認められる1歳馬はセールへの上場ができないもセールもあると聞いたことがありますが、国内のセールではそうした制限はないと記憶しています。
下記の写真は喉頭蓋エントラップメントの内視鏡写真です。
喉頭蓋は膜に覆われているのが分かると思います。
喉頭蓋エントラップメントが認められた場合、喉頭蓋を包む喉頭蓋ヒダを切開する必要があります。この切開方法についてはレーザーメスでの切開やフック付きのナイフでの切開などの方法が報告されています。
喉頭蓋エントラップメントは1歳馬および2歳馬のセールにおいても事前に提出された内視鏡動画を確認する際にはチェックしておくべき所見の1つです。
今回、ご紹介する論文は、米国、ケンタッキー州のRood & Riddle Equine Hospitalで手術を受けた喉頭蓋エントラップメントの1歳馬症例の術後競走成績について報告しています。この論文は、レポジトリー資料を評価するための有用な情報となると思いましたので紹介します。
今回、紹介する論文は、
Curtiss, A. L., Aceto, H., & Embertson, R. M. (2020). Race performance following epiglottic entrapment surgery in Thoroughbred yearlings. Equine veterinary journal, 52(1), 52-58.
になります。
論文紹介
喉頭蓋エントラップメントはサラブレッド種1歳馬において認められるものの、外科手術での治療後の競走成績については明らかにされていません。このような背景からこの論文は作成されていると記載してあります。
この論文の目的は、1歳時に喉頭蓋エントラップメントと診断され、外科手術を受けた症例とコントロール群の競走成績を比較すること、および手術後に競走出走することができなかった症例の要因を明らかにすることだと記載されています。
この論文は、66頭のサラブレッドの医療記録(1989-2014)、および競走記録を調査しています。術前、術後の内視鏡検査所見および手術方法、競走成績を調査したと記載されています。外科治療を受けた症例のの2例の母系兄弟の競走成績を調査し、母系兄弟をコントロール群として用いていました。
また、術後出走できなかった症例のリスクファクターを検討したと記載しています。
66頭中65頭が少なくとも1頭の母系兄弟がいました。
手術を受けた66頭の出走率 (70%) とその母系兄弟の出走率 (70.8%) の間に有意差は認められなかったと記載されています。
手術を受けた症例の中で右披裂軟骨の外転異常が認められた症例では認められなかった症例に比較し有意に術後の出走率が低かった (P=0.02) と記載されています。
この論文では、1歳時に外科治療を受けたサラブレッド種競走馬は、コントロール群と同等の競走成績を示したと結論付けています。また、その際に右右披裂軟骨の外転異常の所見が術後の不出走のリスクとなり得ることを示しています。
感想
1歳馬のレポジトリー提出用の内視鏡動画を撮影する際に注意が必要な喉頭蓋エントラップメントに関する論文でした。
この論文では、喉頭蓋エントラップメントは外科手術にて治癒すればコントロール群と同等の競走成績が得られることを示していると思います。
私の個人的な考えとしては、喉頭蓋エントラップメントの症例は注意が必要な症例だと思っています。喉頭蓋エントラップメントの症例では、外科手術を実施したものの、喉頭蓋の形成不全により持続的なDDSPを発症したり、もしくは間欠的なDDSPを起こす症例が一定数存在するからです。
今回の論文を読んだことで、十分な長さの喉頭蓋を持ち、右披裂軟骨の動きに異常なない喉頭蓋エントラップメントの症例は手術により良好な予後が期待できると考えています。
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