はじめに
先日、近位指骨間関節の関節固定手術の助手に入る機会がありました。この手術は私自身が執刀した経験はありませんが、これまでに複数回、助手として手術に参加しています。今回はこの近位指骨間関節の関節固定をLCPで実施した論文がありましたので、ご紹介します。
今回、ご紹介する論文は、
Sakai, R. R., Goodrich, L. R., Katzman, S. A., Moorman, V. J., Leise, B. S., Kawcak, C. E., & Galuppo, L. D. (2018). Use of a locking compression plate for equine proximal interphalangeal joint arthrodesis: 29 cases (2008–2014). Journal of the American Veterinary Medical Association, 253(11), 1460-1466.
になります。
論文
今回の論文では、Locking Compression Plateを馬の近位指/詞骨間関節関節固定術に用いた結果を明らかにし、さらに関節固定術の原因が第二指骨骨折症例とその他の症例での予後を比較している。
この論文は臨床症例における回顧的調査である。
この論文では2つの獣医教育病院における医療記録を回顧的に調査している。調査対象は2008年から2014年における近位指骨間関節の関節固定術を実施している症例です。この論文では馬主に対して、手術後1-6年でのリハビリ期間、近年の使役、そして馬主の満足度について聞き取り調査を実施し、手術成功は馬主の満足度と目的とした使役から評価しています。この論文では原因が第二指骨骨折症例とその他の症例での結果を比較検討しています。
調査対象馬のうち14頭は第二指骨/趾骨骨折のため近位指骨間関節の関節固定術を受け、15頭は変形性関節炎、脱臼および骨軟骨炎のため関節固定術を受けた。回復期間の中央値は7ヶ月であった。4頭は安楽殺となった。生存し、追跡調査が可能であった23頭のうち22頭では跛行が認められず18頭は目的とした使役に供されていた。骨折以外の要因により関節固定術を受けた症例では、骨折が原因となり関節固定術を受けた症例に比較し、より手術前と同等のパフォーマンスを示すことができた。24症例のうち22症例の馬主は手術結果に満足していた。
感想
この論文では、この症例報告におけるPIP関節の関節固定術の手術成績は良好であったと示しています。また、骨折への内固定手術に対する様々な知識、経験がこの手術を実施するためには必要であると記載しています。
この論文では、追跡調査が可能であった27頭のうち22頭(81%)が跛行を示さずに目的とした使役に供されている。このように8割の馬で使役に復帰できたことは良好な成績だと思います。
私の働くエリアでもこのPIP関節での関節固定術の適応症例に遭遇することがあります。
ほぼ全ての症例はPIP関節の亜脱臼症例であり、P2の骨折症例はまだ経験がありません。
P2骨折は主にウエスタン乗馬の競技で発症することが多いようですので、私のエリアで遭遇することは稀なのだと思います。
0 件のコメント :
コメントを投稿