はじめに
11月末にDr. Florentによる後肢、膝関節の超音波検査についての講義・実習が開催されました。膝関節の超音波検査は私にとっては難易度の高い手技になります。今回のDr. Florentの講義・実習ではわかりやすく、エコー像の描出の仕方、ポイントを教えてくれました。
今回の講義・実習を振り返り、要点をまとめておきたいと思います。
・膝関節の超音波検査対象は?
膝関節の超音波検査は関節の症状が認められた馬はもちろん、X-rayですでに膝関節に所見が認められた馬についても実施した方が良い。ちなみにJoint block実施後では、関節内に空気が入る場合があり、綺麗な超音波検査画像を得ることが難しい。このため超音波検査はjoint blockに先立ち実施した方が良い。・超音波検査部位は?
膝関節の超音波検査は5つのブロックに分けて実施できる。- 1. 頭側
- 2. 内側
- 3. 外側
- 4. 屈曲頭側
- 5. 尾側
・頭側アプローチでの検査部位は?
3本の膝蓋靱帯、内側滑車、外側滑車について検査可能。膝蓋靱帯での靱帯損傷について確認しておく必要がある。内側滑車、外側滑車についても超音波検査可能。これらの滑車についてはX-ray検査で描出することができない病変についても超音波検査で描出可能。このため、X-ray検査と超音波検査は併用を推奨している。膝蓋骨についても超音波検査を実施する。膝蓋骨の骨折はX-ray検査で描出されていないケースがあるため、超音波検査は有用な方法。
・内側アプローチでの検査部位は?
内側の側副靱帯、内側半月板の評価が可能。内側のrecessは膝関節の状態を写す鏡であり、この部位を注意深く評価する。recessは半月板の縦の長さの1-1.5倍ほどの長さが正常。半月板は脛骨、大腿骨を結ぶ仮想線から大きく逸脱するのであれば、脱位が疑われる。半月板は縦断像だけでなく、横断像でも評価可能。・外側アプローチでの検査部位は?
外側のrecess、外側半月板、外側側副靱帯の評価が可能。外側の半月板はやや四角に近い形をしている。感染性関節炎の場合、特に外側のrecessについて評価すると良い。・屈曲頭側アプローチでの検査部位は?
検査ポジションは、検査を実施する獣医師が椅子に座り、患肢を持ち上げ自らの足の上におく。この状態で膝関節は屈曲しており、超音波検査を実施していく。検査では、前十字靭帯を評価することが可能。また、大腿骨の体重負重面の評価も可能です。大腿骨内側顆の骨嚢胞もこの屈曲アプローチで評価できます。半月板の靱帯も評価ができるようです。
まとめ
今回の講習会では膝関節の超音波検査を学ぶことができました。これまでに膝関節が原因となる跛行では、OCD、骨嚢胞、そして膝蓋骨骨折を注意していました。しかし、今回の講習会で他にも注意すべき点を多く学ぶことができました。今後は積極的に膝関節の超音波検査を実際の臨床に取り入れていきたいと思います。
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