馬の顔面骨折;cuttable bone plate での内固定 (Dowling et al. 2001)

はじめに

顔面骨折は馬ではよく認められる骨折の1つです。
僕らの診療エリアでは当歳馬、1歳馬で特に多く認められることが多いのが特徴です。

ただ、顔面骨折に関する論文は多くはないように思います。

今回は、その少ない論文の中から、オーストラリアの大学から発表された論文を紹介します。

今回紹介する論文は、
Dowling, B. A., Dart, A. J., & Trope, G. (2001). Surgical repair of skull fractures in four horses using cuttable bone plates. Australian veterinary journal, 79(5), 324-327.
になります。

それでは早速、論文を紹介します。

論文紹介

3頭の顔面の粉砕、開放骨折、1頭の粉砕、開放した眼窩縁骨折の症例が治療のため来院した。顔面骨折症例では顔面の骨は非対称、鼻出血が前例で認められ、皮下組織の腫脹が2例で認められた。しかしながら、身体検査、神経検査では異常な認められなかった。

X-ray検査と内視鏡検査を実施し、骨折の程度を評価した。しかし、正確な程度の評価は手術時に実施した。良好な外貌、機能を得るために外科的整復を推奨される。

骨折部位のデブライドメントと再建を実施後、ワイヤー固定だけでは不安定な骨折片があったので、2mmのカッタブルプレートを用いて骨片の位置を安定させた。螺子の緩みが3例で認められ、内1例はインプラントの抜去を実施した。他に仔細な合併症が認められたが、全ての症例で骨折は良好に治癒し、良好な外見上の治癒、機能的な治癒が認められた。

粉砕した顔面骨折に対するカッタブルプレートを用いた内固定はワイヤー固定では不安定な症例に対する治療方法として有用である。この方法は開放骨折となっている症例でも利用可能である。

感想

この論文では、2mmのカッタブルプレートを用いて顔面骨折の内固定手術を実施しています。この施設では顔面骨折に対してはワイヤー固定が第一選択となり、ワイヤー固定では不安定となる症例に対してカッタブルプレートを用いて内固定を実施しているようです。

カッタブルプレートのメリットとしては、不安定な顔面骨折症例に対して骨折を安定し整復できる点であると思います。これに対してデメリットとしては、感染のリスク、インプラント抜去の必要性でしょう。

僕らは1/3円プレートを用いて内固定を実施しています。今回の論文に近い治療方針ですね。

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