馬の大腿骨内側顆骨嚢胞(ボーンシスト)に対する治療方法の比較 Vol.1

 こんにちは。
本日のブログでは、馬の大腿骨内側顆骨嚢胞に対する治療方法の比較を行います。

要点としては大腿骨内側顆骨嚢胞症例での以下の3つの治療成績を比較します。

  • 関節鏡による骨嚢胞の搔爬術
  • 超音波ガイド下でのステロイド注入(トリアムシノロンアセトニド)
  • Screw 挿入術

結論を先に示すと・・・

  • 3つの治療方法による出走率に有意な差は認められない
  • 2歳時の出走率はScrew挿入群が関節鏡搔爬群に比較し有意に高い
  • 1回治療当たりの再発率はステロイド注入群が他2群と比較し有意に高い
  • 出走回数および獲得賞金は各治療による有意な差は認められない
となります。

それでは、少し細かく状況を確認します。
まずは、それぞれの治療はその時の担当医の判断によって治療方針が決定されています。
ランダムに治療方法を決定している訳ではありません。
そのためバイアスを取り除くことはできません。

今回の治療成功の定義は2−3歳時における競走馬としての出走です。
中央競馬、地方競馬は問いません。

跛行の再発が認められた症例のうち、他の治療方法を実施し出走した症例では、
1回目の治療は不成功とし、2回目の治療を成功としてカウントしています。

それでは各治療方法の成績です。
関節鏡での搔爬手術を受けた症例では71.4%が出走、ステロイド注入を受けた症例では68.2%が出走、そしてScrew挿入術を受けた症例では78.1%が出走しています。
冒頭で示したように各群における出走率に有意な差は認められませんでした。

この成績を見ると
 Screw挿入術が最も適切な治療方法であり、選択したくなります。
しかし、各群が60症例ほどと小さな群なためか統計での有意差は認められませんでした。

長くなりそうなので、
明日に続きます。


2 件のコメント :

  1. 明日の更新をお待ちしております。

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  2. >andoさん
    コメントありがとうございます。やっと明日がやってきました。

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