今回ご紹介するのは、生後1か月の仔馬2頭に生じた脛骨近位のソルター・ハリスⅡ型骨折を、ダイナミックコンプレッションプレートで固定した症例報告です。White氏、Blackwell氏、Hoffman氏による報告で、*Journal of the American Veterinary Medical Association*誌(1982年、181巻3号252-254頁)に掲載されています。40年以上前の報告ですが、この部位の固定法を扱った古典的な文献の一つです。
ちなみにこの論文の全文は入手できずに今回はabstractのみを読んでの紹介です。
症例の概要
対象は生後1か月の仔馬2頭で、いずれも脛骨近位のソルター・ハリスⅡ型骨折でした。ダイナミックコンプレッションプレートを脛骨の内側面に設置し、近位骨片の変位を整復するために海綿骨スクリュー1本が併用されたと記載されています。
興味深いのは、このプレートが果たした役割が2つあるとされている点です。第一に、骨折の治癒期間中の固定を担ったこと。第二に、成長板を跨いで橋渡しする(transphyseal bridge)役割を果たし、その結果として成長に左右差が生じ、それによって軽度に残っていた肢の外方への変位が矯正されたと記載されています。プレート抜去後の肢の成長は正常であったとされています。
日高での意味
脛骨近位の成長板は肢の伸長に寄与する部位であり、ここを跨いで金属を入れることには、成長障害や肢軸異常への懸念がついて回ります。この報告が示しているのは、その「成長板を跨ぐ」ことが必ずしも不利にはたらくばかりではなく、本症例では残存していた変位の矯正のほうに作用したという経過です。もっとも、これは意図した効果というより結果としての記述であり、2頭という症例数から一般化できるものではありません。生産地で成長板骨折の仔馬について紹介判断を行う際、「固定材が成長にどう影響するか」を飼い主に説明する場面がありますが、その説明の前提として、この古い報告が「プレート抜去後の成長は正常であった」と記録している点は押さえておく価値があると考えられます。
感想
毎年1頭程度は遭遇する脛骨近位の成長板骨折症例の古典的な症例方向になります。ちなみに第一著者は馬の疝痛の教科書の編集者を務めているWhite先生ですね。
この手術は現在ではT-LCPでの固定が推奨されています。
**出典**:White NA 2nd, Blackwell RB, Hoffman PE. Use of a bone plate for repair of proximal physeal fractures of the tibia in two foals. J Am Vet Med Assoc. 1982;181(3):252–254.(PMID: 7107502)
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北海道で働く大動物獣医師
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